【書評】ゲンロン戦記

ゲンロン戦記という本は、哲学者の東浩紀氏が、株式会社ゲンロンを2010年に創業してから起きた出来事を振り返る内容です。

東氏の場合は、雑務などを人任せにした結果、トラブルが発生し、対処に追われるというエピソードが繰り返し登場します。そして、その思考は「甘え」であり、それこそが危機の原因だったと振り返っています。使ってない装置の契約を見直すなどして、経費節減に取り組んでいます。それは、何のために起業したのかがわからなくなるような虚しい体験だったということです。

溜まった領収書をひたすら打ち込む話も登場します。物理的なオフィスを持たない会社の場合、電子データだけ積み重なるのですが、紙に印刷すると、分厚いファイルが次々できていくのです。なんでもデジタルで済ませられる時代も、あえて紙を扱うことでタスクが手にとって触れられて実感が生まれます。例えば、google calenderだけではなく、紙の手帳も使うことでto doリストを片付けていく爽快感が楽しめます。

こうした作業を東氏は「経営の身体」と表現しています。頭で考えるだけでなく、実際に動かすことで、段取りが明確になるといったことも多いです。コツコツと片付けていかないと後で困るため、「経営の身体」を日頃からつくっていく必要があると実感しました。

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