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【感想】映画「HOKUSAI」北斎(ネタバレあり)

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「言葉」だけでなく、「色」「光」「動き」に注目

全体として、説明的な言葉やセリフを極力はぶき、視覚的表現に重点を置いて制作された映像作品だったと思いました。

北斎が愛した独特の青色に関しても、そのことについてはまったく説明がなく、いきなりあの衝撃的なシーンになります。

北斎が青い塗料を頭からかぶる、というこの映画のなかで最も美しい映像のシーンです。

その青色を使って、若いころの北斎と晩年の北斎がリンクしながら大作を描く、シーンもラストを飾る大きなみどころです。

時代劇ものではありがちなのですが、うそだ~というほど照明が明るかったりすることがあります。

しかし、この映画では逆に、本当にロウソクや行燈の明かりだけじゃないかと疑うほどのリアルな暗さにこだわっているようでした。

あえて、自然光に頼っていたその時代のリアルな光量におさえて撮られているところに映像表現の巧みさを感じました。

一つの作品の中で北斎の生涯を描く難しさ

この映画は4章にわけてそれぞれの時代をきりとって描いていました。

第1章で特に存在感をみせたのは、阿部寛演じる蔦谷重三郎の存在でした。

当時有名な浮世絵師たちを世に送り出したのも、すべてこの人物のおかげであり、ものすごい目利きで先見の目を持った人物だったのだということがよく伝わりました。

彼のプロデューサーとしての才能が、あたらしい文化をつくりだし、浮世絵を世界にほこる芸術に仕立て上げたのだということをすごく感じました。

そのへんの描き方が王道であるけれど、嫌味がなく気持ちのよいものでした。もちろん阿部寛さんの演技がすばらしいのは言うまでもありませんが。

ただ全体のストーリー構成としてはすこし物足りなく思いました。各章がぶつ切りで、章と章をつなぐ説明や伏線があまり描かれていなかったので、各章のあいだの語られない部分をもっと知りたいと思いました。

もしかしたら敢えて、そう思わせるようにぶつ切りに切りとって描いたのかもしれませんが、もう少しひねりがあってもよかったかなと思います。例えば第3章を先にもってきて、そのあとで第1章に戻る、などの構成もあり得たと思いました。

とはいえ、言葉をなるべく省いて動きで見せること、絵をみせること、色をみせること、光を見せること、などにこだわって丁寧に作られた映像作品で、興味深く楽しめました。

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