ビジネス

1万円起業(文庫版)『書評ブログ』(職種内容の幅が広い)

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本の概要

「1万円起業」という本があります。

この本は以下のような場面で役立ちます。

  • 趣味の延長としての副業などをはじめる場合
  • 低コストでスモールビジネスをはじめる場合
  • 現在手掛けている事業のやり方を見直す場合

職種内容として、以下のようなジャンルが本の中で該当しうることが示唆されています。

  • マットレス販売
  • オンライン毛糸ショップ
  • 写真教室
  • 外国語教室
  • ヨガ教室
  • 牧場運営/乗馬体験
  • ワークショップ開催
  • 旅行関連情提供サービス
  • ウェディングドレス制作
  • ブライダルアクセサリー制作
  • コンサルティング
  • ピアノ教師
  • 電子書籍販売
  • ダイエット実行プラン提案

原題は”THE $100 STARTUP”ですが、実際はスモールビジネス(本にはマイクロビジネスと書かれている)がテーマです。

大きなリスクを避けて、小さく事業を始めるときの参考になる部分と参考にならない部分がそれぞれあったので紹介します。

参考になる部分

参考になるのは、スモールビジネスを行う上で、利益につながらない作業をしても、忙しくなるだけで徒労に終わる事です。

「ビジネスの目的は利益だってことを忘れちゃダメです。好かれること、ソーシャルメディアで目立つ存在になること、誰も買ってくれないすごい製品をつくることではありません。見た目のいいウェブサイト、完璧なメールマガジン、超人気のブログを持つことでもありません。

大企業ならば、株主への説明責任というものがあります。株主に『フェイスブックではこんなに人気があるんですよ!」と言ったって、そんなことでは満足してもらえません。ビジネスは人気コンテストじゃないんですから、利益を示さなければいけないのです。

あなたの小さなビジネスでも同じなんです。あなたは自分のビジネスの大株主だし、投資したお金を守る必要があります。日常の行動ができるだけ直接、お金儲けにつながるようにしないといけないのです。」

クリス・ギレボー著、本田直之監訳、1万円起業 片手間で始めてじゅうぶんな収入を稼ぐ方法、p.189、飛鳥新社

最近ではソーシャルメディアが集客につながることもあるので、一概にSNSの影響を過小評価することは間違っていると思う反面、「人気」や「知名度」が必ずしも「売上」や「利益」につながるかというと、そうではない場合もあります。なぜなら「人気」や「知名度」は人間や組織が与えた「価値提供」の「結果」であって「原因」ではないからです。「価値提供」こそ「売上」や「利益」を支えるので、「人気」や「知名度」はあくまで間接的に「売上」や「利益」と相関しているにすぎず、「有名にさえなれば事業で成功できる」というのは単なる思い込みでしょう。また、「価値提供」に関連して、本の中で次のたとえ話が紹介されます。

金曜の夜、あなたは1週間の仕事からようやく解放されて、おしゃれなレストランに向かう。ワイングラスを傾けながらくつろいでいると、ウェイターが来て、スペシャルメニューの説明をする。

「今夜はサーモンのリゾットがお勧めです」

よし、それにしよう。注文をメモしたウェイターがキッチンに下がると、ふたたびワインと会話を楽しむーここまでは順調だ。

ところがシェフが登場し、テーブルに歩み寄ってきてこう尋ねる。

「お客様はサーモンリゾットをご注文でしたね?」

その通りだとうなずくあなたに、困り顔のシェフが続ける。

「あの、リゾットは少々つくるのが難しくて、それにサーモンをちゃんと下ごしらえするのも大切なんです……リゾットをつくったことはありますか?」

返事もできないうちに、くるりと背を向けるシェフ。

「それじゃ、私は先に行ってオリーブオイルを温めておきますから……手を洗ってキッチンに来てください」

(中略)

なぜこんな話を持ち出したと思うだろうか?

実をいうと、うまくいかないビジネスの多くは、このシェフのようなことをしているのだ。つまり、顧客に完全なサービスを提供するかわりに、顧客にも舞台裏を見せ、作業をしてもらったほうがいいだろうと考えてしまっている。なぜなら、それが顧客の望みだと思い込んでいるからだ。

よく知られたことわざに、「人に魚を捕ってやれば、その人は一日生きられる。魚の捕り方を教えれば、その人は一生生きられる」というものがあるが、これがすべての元凶だろう。

腹をすかせた漁師が相手なら、このことわざは正解だ。しかしビジネスにおいては、これではうまくいかない。ほとんどの顧客は、魚の捕り方を習いたいとは思っていない。1週間休みなく働いたあとでレストランに行くのは、何もかもやってもらいたいからだ。キッチンで起きていることを詳しく知る必要はない。

それよりも、人びとが本当に欲しがっているものを与えたほうがいい。

クリス・ギレボー著、本田直之監訳、1万円起業 片手間で始めてじゅうぶんな収入を稼ぐ方法、pp.42-44、飛鳥新社

実は、弊社でも最近似たような失敗(?)をしてしまいました。

それは、「魚の捕り方」ならぬ「研究紹介動画の作り方」について電子書籍を出版したことです。

ビジネスを成立させるためには、「釣り方を教える」よりも、「釣って与える」方が重要でした。

参考にならない部分

参考にならないのは、現象を正確に説明できているとは考えがたい論理が書かれていることです。

たとえば、「成功」を「情熱やスキル」と「有用性」を要因として単純に足し算で表しています。

情熱やスキル+有用性=成功

クリス・ギレボー著、本田直之監訳、1万円起業 片手間で始めてじゅうぶんな収入を稼ぐ方法、p.39、飛鳥新社

一方、「情熱+スキル」に「問題+市場」をかけ合わせたものが「ビジネスの機会」としています。

(情熱+スキル)×(問題+市場)=ビジネスの機会

クリス・ギレボー著、本田直之監訳、1万円起業 片手間で始めてじゅうぶんな収入を稼ぐ方法、p.80、飛鳥新社

一般的に、「成功」以前に「ビジネスの機会」があるため、これらの等式には違和感を覚えます。

そもそも、言語操作以外の場面で「等式」を書く場合、両辺の単位が揃っている必要があります。

仮に、一つ目の式で「情熱やスキル」、「有用性」、「成功」を経済的価値で測定するとします。

また、二つ目の式で「問題+市場」は市場規模、「ビジネスの機会」を予想収益で測るとします。

この場合、二つ目の式は、「経済価値(円)」×「経済価値(円)」=「経済価値(円)」です。

これでは、左辺の単位が「経済価値(円)の自乗」、右辺が「経済価値(円)」で異なります。

したがって、冷静に論理を検討すると、数学的に「単位の矛盾」で誤った説明だとわかります。

このように、「入門書」を読む際は「正しい論理なのか?」と注意して読むと発見があります。

本を読んで思った「疑問」が、自身の抱える課題を分析するヒントになることがあるからです。

まとめ

「1万円起業」という本自体は、スモールビジネスのエピソードも豊富で、理解しやすいといった利点もあります。

フリーランスの方や、小規模事業者の方にとって、参考になる部分も多いため、ヒント探しとしておすすめします。

(以下の表紙やリンクをクリックすると、Amazonのサイトにジャンプします。)


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